統合失調症(4)
陽性症状や支離滅裂など、一見派手な症状がある一方で、「陰性症状」と名付けられている地味な症状があります。感情の平板化といって、他人の感情を理解するのが難しくなったり、自閉的に自分の世界に閉じこもったり、意欲がなくなって日中も寝てばかりいたり、入浴もしなくなってくるといった症状です。これは、個人差があるうえ、薬が効きにくい非常に厄介な症状です。薬だけではうまくいかないので、生活技能訓練やデイケア、就労支援などで他人とのコミュニケーションを少しずつ取りながら、気長に症状の軽快を待つことになります。患者さんは怠けているわけではなく、病気の症状です。この点が社会に全く理解されていないのが残念です。また、長期に入院しているほど、陰性症状は悪くなる傾向があります。精神病院という特殊な空間で奇妙な安定をしてしまい、そこから社会に出られなくなってくる。統合失調症の患者さんは、入院を短期間で終わらせ、社会とともに生きるのが理想です。しかし、現実はまだ入院すればそれで足りるとの考えが医療者側にも家族側にも社会にもあります。
精神障害者との共生。美しい言葉です。しかし、現実には統合失調症の方を見たこともない人が少なくありません。まずは病気に対する知識を持ってほしいと思いますし、社会参加への手がかりを何でもいいので提供していただければと思います。