不遇の人へ

精神科は不遇や不幸な人が残念ながら多くいらっしゃいます。しかし、不遇な人に私はこういいたいと思います。今の不遇は決して永遠には続かない。今というときこそ、静かに自分の中のエネルギーを蓄え、未来に実を結ぶきっかけを作っている時間なのだと。捨て鉢にならないでさえいれば、いつかは事態が好転してくるものです。それまでは今という時間をじっと耐え、ほんの少しでも、自分のやれることをやる。人生の不調期は、そのようにしか過ごせないことが多々あるように思えます。何の解決策もなくても、自分では何もできなくても、時間が解決してくれる。時間は何より偉大な治療薬なのです。
何年か経てば、今の不遇を笑い飛ばせる日がきっとやってきます。一度苦しみから立ち直る喜びを知った人は、他人にもきっと優しくなれるし、その喜びを他人にも与えたくなるものです。そんな人こそ、他人とは一味違う、いい仕事ができたり、いい家庭を築けるはずです。そのときを信じて、希望を持ち続ける。悩みの解決の最終手段は、「時間が過ぎるのを待つ」ことです。