本を書いた頃

大昔に私は受験本を書いたことがあります。当時は医学部留年中で食い詰めていました。雀荘に3000円持って行って、それを4000円に増やすような貧乏生活が続く。心がますますすさみ、しかたなく自らの体験を書いて出版社に送ったら、ラッキーなことにそのまま本にされました。エール出版社様には頭が上がらないです。
本を書くとわかることがあります。一冊分書くのはけっこうたいへんです。普通の人はそんなに言いたいことなんかありません。どうでもいいようなことでページを膨らませることがよくあります。
また、本はたいして儲かりません。1万部売れて印税が100万ぐらいが相場です。しかし今の本は1万部など売れません。初版1000部もざらです。すると、印税は10万です。つまり、文章だけで食べるのは無理です。
なお、私の受験本はamazon他で定価より高い値段がついています。そんな価値は全くありません。よりよい最新の受験本をお求めください。
ちなみに受験本を書くのをやめたのは、「医学部の受験に正義はないなあ」と思ったからです。学力がないのに、なぜか不自然に合格する。まともに受験している受験生をバカにするような事態をいくつか目にして、業界に嫌気がさしました。その数年後、私立医大で大々的に不正入試が発覚し、足の洗い時としてたいへんよかったなと思っています。