複雑性PTSD
身分の高い方が「複雑性PTSD」と診断されました。PTSDは事故や災害など、心的外傷からさまざまな精神症状を起こすというものです。複雑性PTSDとなると、長期にわたる虐待やいじめなどを受けて、より精神にダメージを受け、対人不信が悪化したり、派手な不安症状を起こしたり、感情や行動が不安定になったり、長~いうつ状態を起こしたりという病態です。本人の苦痛も精神科的な治療の難しさも大きいです。
だからこそ、この診断名が流行らないといいな~と思っています。「複雑性」という語には、自分の悩みは複雑で深遠なものだという響きがあり、病んでいる中にも一種のプライドが生じ、より治りにくくなってしまいます。しかも、複雑なんだから、自分を非難するようなことを言うなよというメッセージにとられかねません。それでは、援助する人が近づきにくくなり、孤立を呼んでしまいます。
しかも、複雑性PTSDは、診断名は作られましたが、確立された治療法はありません。複雑性PTSDを確実に治せるという精神科医がいたら尊敬します。少なくとも私には無理です。