医療崩壊
最近やたらと医療崩壊が騒がれています。感染爆発が起きたら、対応できるベッドがない。他の病気(救急など)の診療が止まる。医療従事者が感染したら、その病院は戦力が大幅に減る。そこに爆発的に患者さんが押し寄せれば、その地域の医療は持たずに、医療が崩壊します。
実は医療崩壊とは、ちょっと別の意味で使われていた用語です。医療費が着実に削減され、ベッド数もどんどん減らしていく。社会保障費を何とか減らす至上命題があって、医者も看護師も減らす。医療従事者の賃金が下がって労働時間が増える。そのうえ医療水準は高いままをキープする。訴訟もある。それらを現場の医療従事者の超人的な努力で補ってもらう。そんな制度が持つわけもなく、医者の少ない地域から徐々に医療従事者が消えていくのが本来の医療崩壊です。
医療もインフラの一つで、崩壊させないためには、ある程度の予算が必要です。そして、医療従事者も使命感だけで動いているのではなく、家庭のある生身の人間です。これを忘れ、医療従事者の良心に任せ続けるか、市場原理に任せると、お金を持っている人だけが医療を受けられ、ほかは見捨てられるという戦前のような状態に逆戻りです。