退屈に耐える

気分を楽にするには、まず目先の苦痛を除去することです。精神科医も患者さんの目の前の症状を何とかして和らげようと日夜頭を絞っています。
しかし、人間は苦痛を除去しただけでは幸福とは思いません。苦痛がないだけでは、退屈がやってきます。そしてこの退屈が難物なのです。退屈しのぎがしだいにエスカレートするからです。ついこの間まではすごくおもしろかったことが、いつの間にか飽きてしまってまったく面白くなくなっている。そしてまた次の刺激を探す。こうなると、だんだん刺激に対する耐性ができてきて、よりスリルのあるものを求めるようになります。スリルのあるものは成功すれば面白いですが、失敗すれば命にかかわります。ある程度平穏な生活に満足するには、退屈に耐える力も必要です。